
伝統の技術
1.伝統的な診察法
伝統的な診察法は、望聞問切の4つの診察からなります。
1)望診:
「望」は“遠くを見やる”ことで、その代表に『舌診』があります。
『舌診』では、内臓の状態をはじめ、身体の冷えや熱、血液の状態などを診ることができます。
来院の際には、舌の苔を擦ったり、コーヒーなどで着色しないように
注意して下さい。

2)聞診:
「聞」は“聞く”ことで、患者様の呼吸の状態や声の力強さを診ます。
3)問診:
「問」は“問う”ことで、患者様に身体の状態をお尋ねします。
ただし当院では、単に患者様の状態をお尋ねするのではなく、望診・聞診から得られた情報から予測される病状の確認として、便通の状態や喉の渇きなど細かな内容をお尋ねしますので、ご協力をお願いします。
4)切診:
「切」には“ていねい、ぴったりあう”などの意味があり、治療者が患者様に直接触れて診察する方法のことで、『脉診』と『腹診』があります。
『脉診』は、主に患者様の病気の軽重を診ます。
『腹診』は日本独自の診察法で、当院では安土桃山時代から伝わる夢分流腹診を行います。
夢分流腹診は“無問診(問診する必要がない)”と言われるぐらい様々なことを診ることができます。
詳しくは診療の際に…。


2.伝統的な治療法
1)当院の刺鍼法(鍼の刺し方)について
(1)撚鍼法:
皆さんが一般的に目にする鍼治療は、“鍼管”と呼ばれる筒状の中に入った鍼を指先で叩く「管鍼法」と呼ばれる方法で、「撚鍼法」は“鍼管”を用いずに鍼を刺す方法です。
「管鍼法」は江戸時代に杉山和一が考案した方法です。杉山和一は入江流・山瀬琢一の系譜で、山瀬琢一は撚鍼法を行っていました。杉山和一はこの撚鍼法が下手で破門されますが、帰郷する道中で管に入った松葉が自らの身体に刺さったことから管鍼法を思いついたという逸話があります。
現在の鍼師養成校では「管鍼法」しか教えませんが、当院では伝統的な「撚鍼法」を行います。
(3)鍉鍼法:
当院では、『鍼を刺すのが恐い』と言う方に対して、刺さない鍼を行うことも可能です。
その方法を「鍉鍼」と言い、鍼先の丸い形状の鍼を用います。
(2)打鍼法:
伝統的な診察法の『腹診』の項で“夢分流”という名前が出ましたが、
この“夢分流”の祖・御薗夢分斎が考案した方法が「打鍼法」で、
槌で鍼を叩く方法です。
当院でもこの夢分流腹部打鍼術を行いますが、
現在は鍼先を丸くした鍼(円利鍼)を用いる
扁鵲流の経鍼として行っています。


(4)燔鍼法:
鍼を焼いて用いる特殊な方法です。まだ艾(もぐさ)を用いた灸が発達する以前の方法ですが、著しい筋肉痛や風邪を治療することができます。

2)当院の経絡と経筋の調整方法について
(1)経絡の調整方法:
“経絡”という言葉を耳にしたことのある方は多いと思います。
“経絡”は伝統医学の基礎となる考え方で、内臓と四肢・体幹を繋ぐ水路のようなものです。
したがって、内蔵の具合が悪いと四肢・体幹に症状が出現する場合がありますし、逆に四肢・体幹の異常を放置しておくと内蔵の不具合を生じることもあります。
当院では、内臓と四肢・体幹のどちらに主たる異常が生じているかを判断し、適切な処置を行います。
(2)経筋の調整方法:
“経絡”に対して“経筋”という言葉を耳にしたことのある方は少ないと思います。
“経筋”の“筋”は、現在の“筋肉”のことではありません。
誤解されている治療者も多いのですが、“筋肉”の意味が現在のように定義されたのは1774年に
杉田玄白と前野良沢が「解体新書」を著して以降のことで、それ以前は“筋”と“肉”は別のものを表していました。
(霊枢 経脉第十:人始生.先成精.精成而脳髄生.骨為幹.脉為営.筋為剛.肉為墻.)
つまり筋は剛(=網の意味)で現在の神経や筋肉、腱、靱帯などの運動器の総称であり、肉は外力を緩衝する脂肪組織などを表していたのです。
当院では正しく伝統医学を理解し、スポーツ外傷などの運動器の異常に対して、適切な処置を行います。

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